
pH値・EC値って何?ハウス栽培で失敗しないための土壌管理入門
執筆者:髙木 憂也
メガデル運営部(株式会社タカミヤ)
そもそもハウス栽培における「土壌管理」ってなぜ重要?
ハウス栽培では、土壌環境が作物の生育に与える影響が非常に大きいため、土壌管理は欠かせません。肥料の効き方、病害の発生、収量や品質など、すべての根本に関わっています。
特に施設栽培では土壌が閉鎖された環境に近いため、露地栽培と違って雨などによる自然な塩分や酸性の洗い流しが起きにくく、環境が過酷になりがちです。連作による障害も出やすく、同じ作物を長期間栽培する場合は、土の状態を継続的に把握し、計画的に管理する必要があります。
また近年においては、環境問題の高まりや生育の不調要因の解明が進んだことで、過去の過剰施肥を改めることで適正な土壌診断に基づく土づくりが重要と言われています。
「pH値」とは?酸性・アルカリ性の基本
pH(ピーエイチ)とは、土壌の酸性・アルカリ性を表す値で、0〜14のスケールで示されます。中性はpH7で、それより低いと酸性、高いとアルカリ性となります。
作物ごとに適したpHがあります。例えば、トマトやキュウリはpH6.0〜6.5の弱酸性を好みます。pHが合わないと、肥料成分の吸収効率が下がったり、根が傷んだりすることがあります。
また、極端に酸性やアルカリ性の土壌では、リン酸やカリウムといった主要な養分が土壌中で固定され、植物が吸収できなくなることもあります。理想的なpH範囲を維持することで、肥料の効果を最大限に引き出すことができます。
「EC値」とは?塩分濃度の指標
EC(Electrical Conductivity)値は、土壌水溶液中の電気伝導度を示す数値で、主に肥料分(塩類)の濃度を表します。高すぎると、根が水分を吸えずに枯れてしまう「肥料焼け」などのトラブルの原因になります。
適正なEC値の目安は作物や栽培段階によって異なりますが、一般に0.5〜1.5mS/cmが基準とされることが多いです。高すぎる場合は灌水で塩分を流すのが効果的です。
反対に、EC値が低すぎる場合は肥料が不足しているサインでもあります。葉の色が薄くなったり、成長が鈍くなったりした場合は、EC値を確認することで原因を絞り込めることがあります。
自分でできる土壌チェック方法
最近では、家庭でも使える簡易測定キットがホームセンターや通販で手に入ります。試験紙タイプやデジタルメーターなどがあり、使い方も簡単です。
測定結果を見て、pHが低ければ石灰資材(苦土石灰や消石灰)で補正、高ECなら灌水で調整する、という対応が基本です。
日々の作業の中で「なんとなく様子が悪い」と感じたときには、まず数値で土壌の状態を確認する習慣をつけることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。年に2〜3回の定期チェックをおすすめします。

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出典:農林水産省 4 施設園芸土壌の特徴と改良
出典:JATAFF 農業・食品産業技術総合研究機構
出典:農畜産業振興機構 ALIC
※ALIC(農畜産業振興機構)は農業・畜産の双方に関する情報提供を行う公的機関です。本記事では、同機構が公開する土壌診断・肥料施用に関する農業向け資料を参照しています。