農家が知っておきたい!ECチャネル開拓で広がる販路と収益の可能性


執筆者:髙木 憂也
メガデル運営部(株式会社タカミヤ)


近年、農業の販路拡大において、EC(電子取引)チャネルの活用が注目されています。特に、SNSやオンラインショップを活用したD2C(Direct to Consumer)モデルは、農家にとって新たな収益源となり得ます。




ECチャネルの活用事例と効果

例えば、株式会社ノーティストが提供する「はたけビュッフェ」は、月定額で野菜を365日採り放題となる収穫サブスクリプションサービスです。消費者が収穫から出荷までの作業を担うことで、農家の労働時間を約5割削減し、効率的な生産が可能となっています。

参考:prtimes.jp(2024年4月発表)

また、坂ノ途中は、環境負荷の少ない農法で栽培された野菜を定期的に宅配する「お野菜セット」のサブスクリプションサービスを展開しています。これにより、消費者の食生活の充実とともに、農家の収益の安定化が図られています。

参考:坂ノ途中OnlineShop | サステナブルな有機野菜と食品通販

ここまでのショップやサービスをすぐに立ち上げるのは大変ですが、まずは自社で販路を持って直接お客様に農作物を販売することには様々なメリットがあります。



農家が直販として販路を持つことのメリット



直販とは、農家が仲介業者や市場を介さず、消費者に直接農産物を販売する方法です。インターネットの普及により、ECサイトやプラットフォームを通じた直販のハードルは大きく下がり、多くの生産者が取り組み始めています。主なメリットは以下の通りです。

  • 販売価格を自分で決められる
    中間マージンが発生しないため、適正価格での販売が可能となり、利益率を高く保てます。
  • 顧客の声を直接聞ける
    消費者との距離が近く、評価や要望をダイレクトに受け取ることができるため、品質向上や新たな商品開発に活かせます。
  • ブランディングができる
    顔の見える生産者として、自分の農園のストーリーや栽培のこだわりを伝えることで、リピーターやファンの獲得につながります。
  • 販路の分散によるリスク軽減
    市場価格の変動や卸先との取引停止といったリスクを、直販によって一部回避・分散できます。
  • 収入の安定化
    定期購入などの仕組みを取り入れることで、収入の波を抑えやすくなります。


ECチャネル開拓に向けて押さえるべき4つのポイント


ターゲット市場の明確化

自分が作っている農産物は、誰に向けて売るのが最適かを考えることがスタート地点です。たとえば「無農薬・有機栽培の野菜」であれば健康志向の高い都市部の30〜50代女性、「大容量の米」であれば大家族層や業務用のニーズが考えられます。ペルソナを設定することで、訴求内容や販売チャネルがより効果的になります。


販売プラットフォームの選定

自社ECサイトを構築する場合は、ShopifyBASEなどのサービスを活用することで、ブランドを前面に押し出した販売が可能です。一方で、メルカリShops食べチョクなどのプラットフォーム型のサービスもあります。どのプラットフォームを主軸にするかは、ターゲット層の利用動向に合わせて選定しましょう。


商品・サービスの差別化

ネット上では数多くの商品が並ぶため、選ばれるためには差別化が必要です。「朝採れ」「○○さんちのにんじん」「3児のママが作る安心野菜」など、商品そのものだけでなく、人や想い、こだわりを伝えることで他との違いを明確にできます。加工品がある場合は、ストーリー性を持たせることで客単価の向上にもつながります。


物流・配送体制の整備

どんなに良い商品でも、消費者の手元に届くまでに傷んでしまえば信頼は得られません。収穫から梱包、出荷までのフローをスムーズに設計し、品質を保ったまま迅速に届ける体制を整えることが重要です。ヤマト運輸やゆうパックの「チルド便」「クール便」などの活用、また発送業務を一部外注する選択肢も検討に入れましょう。





よく耳にする「自社運営型」の代表的なECサイトとその特徴



自社でネットショップを立ち上げて運営する「自社運営型」のECチャネルをご紹介します。これらのサービスは、販売ページのデザインやブランディングを自由に構築できる反面、集客や運営の手間も伴います。


  • Shopify: 世界中で利用されているEC構築プラットフォームで、自由度の高いカスタマイズが可能。決済や在庫管理機能も充実しています。

  • BASE: 日本国内の小規模事業者に人気のECプラットフォーム。無料プランがあり、初心者でも使いやすいインターフェースが特徴です。

  • カラーミーショップ: 多彩なテンプレートとマーケティング機能が充実しており、中小規模のショップ運営に適しています。

  • Amazon・楽天市場: 集客力が高く、多くの消費者にリーチ可能ですが、構築の規模も大きく工数も増える傾向です。




「比較的始めやすい!?」プラットフォーム利用型の販売チャネル


自社運営型に比べ、既存の集客力を活用できる「プラットフォーム利用型」は、販売ページの構築にかかる手間が少なく、比較的すぐに販売を始められるメリットがあります。


  • メルカリShops: フリマアプリ「メルカリ」内で農産物などを販売可能。集客力が非常に高く、スマホひとつで出品・運営が可能。

  • 食べチョク: 生産者から直接消費者へ農産物を届ける「産直型」ECサイト。品質や生産者情報にこだわるユーザー層に支持されています。

  • ポケットマルシェ: 農家と消費者が直接つながるアプリ型プラットフォーム。販売だけでなくコミュニケーションによるファン作りも可能です。

  • 楽天ファーム: 楽天市場と連携した農産物の販売チャネルで、ポイント還元などの集客効果が見込まれます。

楽天ファームや食べチョクなどの農産物販売プラットフォームは、生産者がネットで直接販売できるという点では「直販」に近い形態ですが、プラットフォーム運営企業が集客や決済を担い、中間手数料も発生するため、厳密には「D2C」ではないとも考えられます。


一方で、ShopifyやBASEを使った「自社運営型」ECでは、販売から顧客管理まで一貫して自分で行うため、D2Cの定義により近い形になります。




自社運営型とプラットフォーム型どっちがおすすめ?

ターゲットによって決めるのが良い!

どこで出店するかはターゲットとするお客様によって決定するのが良いでしょう。その作物をどんな方が買ってくれるのか、その方は普段どこで買い物をするのかなどを考えましょう。

もし既に直売所を運営している場合は、よくいらっしゃるお客様に質問をしてみるのも良い手段です。




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