
台風はいつ来る?2025年の発生傾向と農家の「逆算備え」
執筆者:髙木 憂也
メガデル運営(株式会社タカミヤ)
近年の台風は、発生のタイミングや進路が読みづらく、農業への影響も年々深刻になっています。例年通りの備えだけでは対応しきれないケースも増えており、「今年はどう備えるべきか」を知ることが、被害を減らす第一歩です。
台風とは?その仕組みと農業への影響
日本にとって夏から秋にかけて大きな脅威となる台風。台風は、熱帯の海上で海面水温が高まることで上昇気流が生じ、積乱雲が発達してできる「熱帯低気圧」が、さらに発達した気象現象です。気象庁では、中心付近の最大風速が17.2m/s(約34ノット)以上になると「台風」と定義しています。
その進路や勢力は、周囲の気圧配置、特に太平洋高気圧の張り出しや偏西風の位置によって左右されます。勢力の強い台風は、中心に近づくほど猛烈な風と雨を伴い、周囲にも広範囲な影響を与えます。日本では例年7月〜10月に接近・上陸しやすく、とくに8月と9月がピークとされています。
農業現場では、露地栽培の倒伏や冠水、施設栽培のハウス破損などが主なリスクです。たとえば、ビニールが破損すれば、収穫目前の作物が台無しになることもあります。
台風発生の前兆とは?気象の変化から読み取るサイン
台風は突然接近するイメージがありますが、その前にいくつかの気象的前兆が現れます。農家が備えのタイミングを見極めるには、こうしたサインの把握が非常に重要です。
まず注目したいのが、海面水温です。台風のエネルギー源は暖かい海水で、特に海面水温が26.5 ℃以上となると、熱帯低気圧が発達しやすくなります。気象庁は「海面水温実況図」を毎日公開しています。
出典:気象庁 海面水温実況図
2025年の気象傾向と台風予測
気象庁の「エルニーニョ監視速報 No.393」(2025年5月10日発表)では、2025年夏に向けてはエルニーニョ・ラニーニャのいずれも起こらず、「中立」状態となる可能性が高いとしています。
出典:気象庁 | エルニーニョ監視速報
また、6月時点の海面水温は平年より高い傾向が確認されており、7月中旬~8月中旬をピークと見て備えることが現実的です。
台風が多い年・少ない年の農業被害の違い
台風が接近・上陸する頻度は年ごとに異なりますが、「数が少ない年=安心」とは言い切れません。実際には、たった1回の大型台風でも、タイミングや進路次第で農業被害は甚大になることがあるため、油断は禁物です。
例えば、2022年は接近数が平年並みでしたが、台風14号が九州を直撃し、果樹園やハウスに深刻な被害をもたらしました。
また、2021年のように接近数が少ない場合でも、タイミングや進路によっては、農作物への影響が大きくなるケースもあります。特に露地野菜の生育不良や長雨による病害虫の発生は、被害が長引きやすく、収量や品質の低下を招くこともあります。
農家の“逆算備え”の方法
「逆算備え」とは、台風が到達する前提で「いつ」 「どの作業を終えるか」を計画し、最小限の被害に抑えることを目指す行動です。具体的には、台風が最も多くなる8月中旬を起点に、そこから逆算して播種・定植・収穫などの作業時期を見直す方法が挙げられます。
また、ビニールハウスの補強や露地栽培の排水整備など、設備に関する対策も事前に検討しておくことで、直前のドタバタを避けられます。こうした準備は「備えあれば憂いなし」ではなく、「備えなければ対応すらできない」時代になっています。
計画の見直しには、過去の台風接近データや地域の被害傾向をもとにしたカレンダーづくりが有効です。JAや自治体、農業高校などが出している営農だよりや被害報告をもとに、自分の作型に合った備え方を整理しておきましょう。
今年の台風に向けた“考える備え”
地域の被害傾向を知ることが、台風への実践的な備えの第一歩です。施設栽培ならハウスの点検、露地なら排水対策など、現地に合った対策を今から進めておくことが重要です。
また、いざというときに備えて、復旧の選択肢を持っておくことも大切です。施工会社とマッチングできるサービス「メガデル」に会員登録しておけば、必要なときにスムーズに依頼を始めることができます(施工案件の登録は、被害発生後で問題ありません)。

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